120年以上の歴史を持つKUKAは、世界の産業用ロボット市場を牽引してきたドイツ発のロボットメーカーです。 創業以来、産業用ロボットとオートメーション技術の分野で常に業界をリードし、数々の革新を通じてロボット業界の未来を切り開いてきました。
創業と初期の歩み
KUKAは1898年、ドイツ・アウクスブルクでJohann Josef Keller(ヨハン・ヨーゼフ・ケラー)とJakob Knappich(ヤコブ・クナッピッヒ)によって創業されました。当初は電気照明機器や溶接装置を手掛けており、酸素アセチレン溶接やドイツで最初のスポット溶接ガンを発明するなど、溶接技術の新しい基準を次々に確立。1970年代初頭、自動化ニーズの高まりを受けて産業用ロボットの開発に着手しました。

KUKAの創設者 ヤーコプ・クナッピヒ(左)とヨハン・ヨゼフ・ケラー(右)
世界初の電気機械駆動式6軸産業用ロボット「KR FAMLUS」

1973年、KUKAは世界初の電気機械駆動式6軸産業用ロボット「KR FAMLUS」を開発しました。電動モーターを駆動源とする初の産業用ロボットで、多関節構造による柔軟な動作と高精度な制御を実現。 これにより自動車製造などの多くの製造現場で自動化が加速しました。
PCベース制御の先駆け「KR C1」(KUKA Robot Controller 1)

1996年、従来の専用ハードウェア中心だったロボット制御に対し、世界で初めてWindowsベースのオープンなPS制御を導入。これにより、柔軟性・拡張性・他システムとの連携力が格段に向上しました。 このアーキテクチャは現在のロボット制御にも受け継がれています。
医療分野への挑戦「Cyber Knife(サイバーナイフ)」

サイバーナイフに使用されているKUKAのロボットアームは、圧倒的な可動域と人の腕のようなしなやかさ、高精度な位置制御により、患者のわずかな動きにも対応し、ミリ単位で照射角度を補正。ロボット技術が医療分野にも革新をもたらしました。 同じ年には、世界初の協働ロボット「LBR 3」(試作機)も開発。人とロボットが安全に共同作業できる技術の基礎を築き、後の量産型協働ロボットにつながる重要な一歩となりました。
世界最大・最強の6軸ロボット「KR 1000 TITAN」

2007年には、「KR 1000 TITAN」が最大可搬重量1,000㎏の壁を突破。従来のロボットでは不可能だった大型部品の搬送や組立作業に対応し、建設や重工業など、これまで導入が難しかった分野でも活躍の幅を広げました。 また、世界最強の6軸産業用ロボットとして、ギネスブックにも掲載されました。
協働ロボットへの挑戦「LBR iiwa」

2013年、世界初の全軸トルクセンサー搭載・人協働型ロボット「LBR iiwa」を発表。7軸構造と全軸にトルクセンサーを搭載し、人と安全に協働しながら精密作業を可能にしました。製造業のみならず、医療や研究・サービス業など、ロボットの活用範囲を大きく広げるきっかけとなりました。
最後に
KUKAは創業以来、数々の”世界初”を生み出し、産業用ロボットの発展に大きく貢献してきました。その革新の精神は今も息づき、産業の未来を支えるパートナーとして、世界中の現場で活躍しています。 これらの技術は、今日のスマートファクトリーやロボット×AI時代の基盤となり、KUKAは今も世界100か国以上で、最先端のものづくりを支え続けています。