産業用ロボットとは?

近年、様々な現場では産業用ロボット」という言葉を耳にする機会が増えてきました。日本は世界でも有数のロボット大国であり、多くのメーカーが日々の生産活動を支えるロボットを開発・活用しています。 では、産業用ロボットとはどのような存在なのでしょうか?

身近な製造現場で活躍するロボット

私たちの身の回りにある自動車やスマートフォン、家電製品――その製造現場では、必ずといっていいほど「産業用ロボット」が活躍しています。産業用ロボットとは、主に工場の生産ラインなどで人間の作業に代わって、溶接や塗装、組み立て、搬送などの作業を自動化するロボットです。 スピードや正確な動きが求められる工場の現場に置いて、いまや欠かせない存在です。

産業用ロボットが普及し始めたのは1960年代。溶接や組み立てなどの単純で繰り返しの多い作業を中心に導入が進みました。日本では1980年代から急速に広まり、自動車業界を中心に世界をリードする存在となりました。現在では、自動車をはじめ、食品や医薬品、電子部品などの幅広い分野で活用されています。

産業用ロボットの強みは、人間の手作業では難しい「精密さ」や「繰り返し作業の安定性」などが挙げられます。 例えば、1分間に何十回も同じ動きを続けても精度が落ちることはなく、24時間休みなく稼働することが可能です。また、危険な環境や重労働が伴う現場では、人間の代わりに作業を担うことで、安全性の工場にも貢献しています。

産業用ロボットの種類

産業用ロボットとひとことで言っても、その形や役割はさまざまです。以下に代表的な5種類をご紹介します。

・垂直多関節ロボット
人間の腕に近い構造を持ち、自由度の高い動きが可能です。溶接や組み立て、搬送などの幅広い用途で利用され、最使用されているロボットです。

・水平多関節ロボット(SCARAロボット)
水平方向の動きに優れ、高速で位置決めが可能です。小型部品の組み立てや電子機器の生産 ラインで多用されています。

・パラレルリンクロボット(デルタロボット)
三角形のリンク構造を持ち、非常に高速かつ軽量物の搬送に適しています。主に、食品や医薬品の仕分け工程で活用されることが多いロボットです。

・直行ロボット(ガントリーロボット)
X/Y/Zの直線的な動きに特化しており、非常にシンプルな構造である点が特徴のロボットです。工作機械、後続の加工設備、射出成形機間の自動化した作業工程の連結などとの組み合わせにも適しており、組み立てや搬送などの工程で活用されています。

・協働ロボット
人と同じ作業スペースで安全に動作できるよう設計された、協働型のロボットです。ロボット本体に安全装置が搭載されており、衝突をセンサーで検知することができるので、人とロボットが同じ作業スペースで安全に協力して作業することが可能です。

これからの産業用ロボット

近年はAIやIoTとの連携が進み、ロボットはたんなる作業機械から「賢く学習する存在」へと進化しています。画像認識を活用して不良品を見分けたり、生産データを解析して効率を最適化したりと、その役割はますます広がっています。

少子高齢化による労働不足や、生産の多品種少量化といった社会的課題に対しても、産業用ロボットは重要な解決策のひとつです。 私たちの生活を支える製品の裏側では、日々進化するロボットが活躍しており、これからのものづくりに欠かせない存在です。

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