近年、製造現場で耳にする機会が増えている「協働ロボット」。これは、人と同じ作業空間で安全に協力しながら作業できるように設計されたロボットの一種です。 では、協働ロボットとはどんなロボットなのでしょうか?
人と一緒に働く、新しいロボットのカタチ
協働ロボットは英語で「Collaborative Robot」、略して「コボット(Cobot)」とも呼ばれ、人と同じ作業スペースで安全に協力しながら作業を行える、新しいタイプの産業用ロボットです。
従来の産業用ロボットといえば、自動車工場などで大型のアームが高速で動き回る姿を思い浮かべるかたも多いのではないでしょうか?その多くは安全柵や囲いの中で稼働し、人が近づくことはできませんでした。これは、非常に速い速度や力で動作するため、人が接触すると大きな事故につながる危険性があったからです。
その一方で協働ロボットは、「人と並んで働く」ことを前提に設計されています。安全性や操作性に優れており、これまで自動化が難しかった中小規模の工場や多品種少量生産の現場にも導入が進んでいます。

協働ロボットの特徴
協働ロボットの特徴の1つが安全性です。ロボットの関節にはトルクセンサーが搭載されており、人や障害物にぶつかると瞬時に自動停止します。さらに、可動速度や出力に制限が設けられているため、人のすぐそばで安心して稼働できます。加えて、角の少ない滑らかなデザインにより、万が一の接触時のリスクも軽減しています。
次に挙げられるのが設置のしやすさです。従来の産業用ロボットは安全柵や専用の設備が不可欠でしたが、協働ロボットは基本的に大掛かりな設備を必要としません。そのため省スペースで導入でき、製造ラインのレイアウト変更にも柔軟に対応できます。
また、操作の容易さ も大きな魅力です。従来は専門的なプログラミング知識が必要でしたが、協働ロボットは直感的な操作で扱いやすく設計されています。アームを直接手で動かして作業を教えるティーチング機能や、タブレット型のインターフェースにより、専門知識がなくても簡単に作業設定が可能です。

協働ロボットが活躍する現場
協働ロボットは、主に人の作業を補助する形で活躍します。たとえば、部品のピッキングや組立、検査、梱包といった軽作業や繰り返し作業です。これにより、人は創造的な作業や判断が必要な業務に集中できるようになります。 また、重労働や単純作業をロボットが担うことで、作業者の身体的負担を軽減できるのも大きなメリットです。加えて、危険な工程に導入することで労働災害のリスク低減にも貢献しています。
協働ロボットのこれから
協働ロボットはまだ比較的新しい技術ですが、その可能性は非常に大きく、人と同じ作業空間で安全に働きながら、単純作業や危険作業をサポートする協働ロボットは現場の効率や安全性を高める存在として注目されています。 そして、現在は製造業を中心に導入が進んでいますが、物流、小売、医療、さらには農業の現場など、さまざまな分野への応用が期待されています。