ロボットが支えるボイラー生産ラインの完全自動化

13台のロボットによる完全自動化ライン

あるオーストラリアの暖房機器メーカーでは、ボイラー製造における品質向上と生産量の拡大を目的に、溶接工程を中心とした完全自動化ラインを導入しました。

このラインには、KUKAの産業用ロボット13台が稼働しており、溶接・搬送・検査・部品管理といった一連の工程を自動化。従来、手作業で行われていた仮付け作業もロボット化されたことで、生産能力は最大40%向上しました。
さらに、溶接作業をロボットが担うことで、少人数でのシフト運営が可能となり、生産体制の柔軟性も大きく向上しました。

導入された主力ロボットは、溶接用途で高精度な動作を誇る KR CYBERTECHシリーズ。
狭いスペースでも高速かつ滑らかな動作を実現し、ボイラーの筒状部品やカバー部の溶接を正確に行います。
また、溶接条件はすべてデジタルで管理され、安定した品質を維持しています。

タック溶接から最終溶接まで

新しい生産ラインは、2つのタック溶接セルと6つの最終溶接セルを中心に構成されています。
導入されたロボットは、溶接アーク用のKR CYBERTECH ARC、ハンドリング用のKR QUANTEC、そしてフロアレールに設置された高負荷対応モデルKR 600 FORTECです。
KR CYBERTECH ARCは高精度かつ高速なアーク溶接を可能にし、KR QUANTECは高負荷搬送でも安定してワークを扱えるため、ライン全体の効率化と品質の安定に大きく貢献しています。 また、フロアレール上に設置された高負荷対応ロボットKR 600 FORTECが各溶接セルに適切な治具を自動で供給することで、段取り替えの自動化と生産性向上を実現しています。

タック溶接セルでは部品の位置決めと仮止めを行い、続く最終溶接セルで本溶接を実施。
各セルは搬送システムやハイベイ倉庫(構想ラック型の自動倉庫)と連携しており、部品のロード/アンロードからロジスティクスまで、一貫して自動化されています。
その結果、タック溶接工程では従来比で最大50%の生産性向上を達成し、品質と効率の両立を実現しました。

さらに、カメラシステムによる位置確認や自動補正機能、トーチクリーニングや部品交換の自動化など、品質を安定させるための仕組みも組み込まれています。
これにより、各ロボットの特性を最大限に活かした効率的で信頼性の高い生産プロセスが実現しています。

品質を見える化する、QRコードによる製造履歴管理

ライン内で製造されるすべてのボイラーにはQRコードが付与され、どのセルで・どの条件で溶接されたかを記録・追跡することができます。この仕組みにより、製造履歴を一元管理でき、品質保証体制の信頼性が飛躍的に向上しました。
また、現在は19種類のボイラータイプに対応しており、製品切り替えにも柔軟に対応できます。

自動化がもたらす次の一歩

今回の導入は、KUKAの高精度なロボット技術と柔軟なシステム設計力が融合した事例です。
技術面の信頼性はもちろん、運用後のサポート体制も一貫して整っており、安心して導入・稼働することができます。
こうした成果により、このラインはヨーロッパでも最先端のボイラー生産ラインのひとつとして高く評価されています。

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